振袖
#選び方#マナー#着こなし
2023.08.28

【振袖・留袖・訪問着】着用シーンやデザインの違いとは?

振袖と留袖は、どちらも日本の伝統的な着物ですが、それぞれ異なる特徴をもち着用シーンも分かれています。今回は、振袖、黒留袖、色留袖、訪問着の違いについてデザインの特徴や着用シーンなどをもとに詳しく解説します。着物の種類の違いを理解して、着用する場にふさわしい着物を選びましょう。

着物にはどのような種類がある? 代表例を紹介

着物は基本の形が同じでも、さまざまな種類があり、それぞれに着用シーンは違います。フォーマルなシーンで着用する可能性がある着物は、「振袖(ふりそで)」「黒留袖(くろとめそで)」「色留袖(いろとめそで)」「訪問着(ほうもんぎ)」「付け下げ(つけさげ)」の5種類でしょう。
その中でも、より着用する機会の多い振袖、黒留袖、色留袖、訪問着について、詳しくご紹介します。

振袖とは

「振袖」と聞けば、成人式の晴れ着をイメージする方は多いのではないでしょうか。長く仕立てられた袖丈が特徴で、成人した未婚女性が着用する「正礼装(第一礼装)」です。
成人式の他には、結婚式・披露宴での列席衣裳として着用されるほか、フォーマルな式典への出席や華やかな発表会などでも見かけることがあります。

振袖のデザインの特徴

振袖特有の長い袖は「振り」と呼ばれています。外側の丸みを帯びるように縫い付けられた「袂」(たもと)の反対側には「振八つ口」と呼ばれる大きな開口部が、また見頃の脇にも「身八つ口」と呼ばれる開口部があります。
着物を開くと、衿・胸・肩・袖・腰・裾など、全体的に一枚絵のようにつながる豪華な「絵羽模様」が描かれているのも特徴です。
袖の長さは「大振袖」「中振袖」「小振袖」の3種類。袖が長いほど着物としての格は高くなり、着用するシーンに応じて使い分けられます。

「大振袖」の袖丈は114cmほどあり、着用する方の身長にもよりますが、くるぶしが隠れるほどの長い袖が特徴。袖丈が100cmほどの「中振袖」は、成人式で着用されることの多い振袖です。「小振袖」の袖丈は85cm程度と比較的短く、振袖の中では最もカジュアルに着用することができます。

振袖を着ることができる人

「振袖」は成人した未婚女性のための着物とされていますが、厳密な年齢制限はありません。
最近では小学校の卒業式でも、小振袖を袴に合わせて着用している姿を目にすることが増えてきました。
一方で、30代で未婚の女性も増えていますから、振袖を着用できる年齢の幅は広がってきています。
それでも、振袖を着ている=未婚の若い女性、というイメージは根強く残っているようです。

一般的に振袖を着られる適齢と考えられるのは30代前半くらいまで。それ以上になると、留袖や訪問着などを選ばれる方が増える印象です。

振袖の着用シーン

次に、「大振袖」「中振袖」「小振袖」それぞれに適した着用シーンについてご紹介します。

大振袖

かつては成人式の衣裳としても着られることがあった「大振袖」ですが、結婚式の花嫁衣裳としても着用できるほど、格式の高い振袖です。披露宴でのお色直しなどで着用されることが多く、「引き振袖」とも呼ばれるのが一般的。その名前の通り、綿の入った裾を、ウエディングドレスのトレーン(裾)と同じように、引きずるように着付けます。

中振袖

近年、成人式用の晴れ着として主流になっているのが「中振袖」です。結婚式や披露宴・パーティ、卒業式、さらに結納・顔合わせなど、フォーマルシーンで幅広く着用できる振袖。
結婚式のお呼ばれで着用したい場合は、花嫁がお色直しなどで振袖を着るか着ないか、念のため事前に確認しておくと良いでしょう。花嫁が引き立つように、色がかぶることのないように注意が必要です。

小振袖

袖の長さが一番短い「小振袖」は、大振袖や中振袖に比べ、袴(はかま)と合わせた時にバランスが良いのが特徴。そのため、卒業袴と合わせることが多く、大学の卒業式や、最近では小学校の卒業式でも着用されています。
振袖は、基本的に身長に合わせて袖の長さを変えることはしないため、たとえば大振袖を着ても高身長の場合、袖の長さはくるぶしまで届かない場合もあります。着用する人の身長によって、多少印象が変わってくるのも、振袖の特徴といえるでしょう。

黒留袖とは

未婚女性の「正礼装(第一礼装)」が振袖であるのに対し、既婚女性の正礼装で最も格の高い着物は「黒留袖」です。女性が着用する着物の中で、最も格の高い装いといえます。

黒留袖のデザインの特徴

黒留袖の上半身には柄が入らず、裾周りにだけ柄が入ります。
着物を広げた際に、一枚絵のようにつながる「絵羽模様」が施されているのは、振袖と同じです。
さらに、白で染め抜いた、「日向紋」が背中・両胸・両後ろ袖に五つ入っているのも特徴です。同じ正礼装であっても振袖では家紋は省略され、柄の美しさが優先されることが主流になっています。

古くは黒留袖の下に、白羽二重の着物を重ね着していましたが、より軽く、着用しやすいよう、現代では「比翼仕立て」が主流です。これは重ね着しているように裾の部分に白羽二重の布を縫い付けたもの。

黒留袖の柄は、縁起の良い吉祥文様や有職文様など、重厚かつ格調の高い柄が描かれており、生地には、「一越縮緬(ひとこしちりめん)」など、地模様のないちりめん生地が使われます。

黒留袖を着ることができる人

現代において、「黒留袖」を着用する代表的なシーンは親族として列席する結婚式です。
一般的には、新郎新婦の母親が着用する着物で、足を運んでくださるゲストの方々に敬意を払うため、その場では最も格の高い衣裳を着る必要があります。母親に次いで格の高い衣裳を着る親族女性や、仲人夫人も、黒留袖を着ることができます。
逆に、新郎新婦の友人や同僚という立場で結婚式に出席する場合、既婚女性であっても黒留袖を着用するのはマナー違反になります。ご注意ください。

黒留袖の着用シーン

既婚女性にとって最も格の高い正礼装(第一礼装)となる、「黒留袖」。
結婚式以外では、家元の免許皆伝や叙勲など、着用できるシーンは限られます。
昔はお宮参りの際に父親方の祖母や、赤ちゃんの母親も黒留袖を着用していましたが、最近では着物でもカジュアルなものを選ぶ方が増えており、お宮参りで黒留袖を着用する人は少なくなっています。

色留袖とは

未婚・既婚を問わず正礼装(第一礼装)として着用できる、黒以外の留袖が「色留袖」です。入っている紋の数によって略礼装として着用することができ、黒留袖と色留袖をまとめて「留袖」と呼ばれます。

色留袖のデザインの特徴

「色留袖」のデザインは、「黒留袖」と同じで上半身は無地、裾まわりにのみ、一続きの「絵羽模様」が描かれます。生地はシボ感のあるちりめんのほか、地模様が織り込まれた生地を使用されるケースもあります。

黒留袖と同様、下に白羽二重を重ね着しているように見せる「比翼仕立て」が一般的です。
注意が必要なのは古い時代の留袖で、比翼仕立てになっていない場合があり、白羽二重の着物を重ね着しないと、親族が結婚式で着用することはできません。中古の留袖を購入する場合は、比翼仕立てになっているかどうかをチェックすることをおすすめします。

紋の入り方は、格が高い順に「五つ紋」「三つ紋」「一つ紋」の3種類です。
黒留袖と同じように、背中・両胸・両後ろ袖の5カ所に「五つ紋」が入っている色留袖は正礼装。背中と両後ろ袖の3カ所に入る「三つ紋」は準礼装、背中に一つの「一つ紋」は準礼装から略礼装となり、紋が入らない「紋なし」は略礼装、いずれも親族の結婚式で着用するのはおすすめできません。

色留袖を着ることができる人

色留袖は、もとは黒留袖と同じように既婚女性の正礼装(第一礼装)でしたが、現在では未婚・既婚を問わずに着用することができます。そのため、結婚式などでは、振袖ではかわいらしすぎるし黒留袖ではちょっと地味…とお考えの未婚の親族に着用されることが増えています。

色留袖の着用シーン

実際に色留袖を着用できる具体的なシーンをご紹介します。

黒留袖と同格となる「五つ紋」が入った色留袖は、結婚式や披露宴にふさわしい衣裳。叙勲や祝賀会など、格式が高く、かつ華やかな場所に着ていくことも可能です。

三つ紋・一つ紋の色留袖は、五つ紋より格が下がっても留袖自体の格が高いため、カジュアルシーンでの着用には向きません。結婚式では、新郎新婦の遠縁にあたるなど、黒留袖を着るより少し格を下げたい場合に着用するようなケースでしょう。特に一つ紋だと略礼装扱いとなり、格としてはお友達の結婚式でも着用できますが、小さな紋の数に注目する人は少なく、親族と間違われがち。そのため、お友達の結婚式には、「訪問着」を選ぶ方が最近増えています。

訪問着とは

結婚式などフォーマルシーンから、お食事会や観劇といったカジュアルなお出かけまで、より幅広く着用できる着物が「訪問着」です。留袖に次ぐ準礼装から略礼装の格にあたり、ちょっとしたパーティなどに参加する際など、気軽に着用できる着物といえるでしょう。

訪問着のデザインの特徴

留袖と同様に、訪問着の柄は、縫い目をまたいで一枚絵のようにつながる「絵羽模様」が施されています。留袖と違うのは上半身にも柄が入り、結婚式などでテーブルに着席した際に、柄が見えている着物は留袖ではなく、振袖か訪問着と見分けることができます。色留袖と同様、多様な地色から選ぶことができます。

描かれる柄は、伝統的な古典柄からモダンなデザインもあり、多種多様なので、着る目的や訪れる予定の場所に合わせて、幅広いテイストのコーディネートを楽しむことができるのが魅力です。

訪問着を着ることができる人

「訪問着」は年齢や既婚・未婚を問わず、どなたでも着ることができる着物です。新郎新婦の友人や同僚としての列席、またお子様の行事を着物姿で見守る母親として、さらに式典やパーティなど、幅広いシーンで着用できます。

訪問着の着用シーン

結婚式以外で着用するとすれば、具体的には、お子様のお宮参りから七五三、入園・入学式、卒園・卒業式などが考えられます。母親の立場の方は特に活用シーンが多いでしょう。さらにお茶会や観劇、同窓会や食事会など、カジュアルな集まりやイベントでも着用することもできるので、もし訪問着のお仕立てや購入を考えられている方は、季節を限定しない柄を選び、小物で季節感を演出するのも素敵です。

まとめ

着物は、知らないとパッと見だけでは種類を見分けにくいもの。形から着物を見分けるコツは3つ、袖の長さと、柄が描かれている場所、柄が絵羽模様かどうか。
袖が長ければ「振袖」、袖が短くて裾周りのみ柄が入っているのが「留袖」、袖が短く、柄が上半身にも描かれ、縫い目で途切れていない絵羽模様になっていれば「訪問着」です。
それぞれ着る立場とシーンは違うので、ふさわしい着物を選んで着用するようにしましょう。

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