振袖
#選び方#マナー#着こなし
2023.10.11

振袖と他の着物の違いとは?知っておきたいポイントを詳しく解説

「振袖」を着て成人式に参加することは一般的になっていますが、歴史や背景を知っている人は多くありません。ここでは成人式に振袖を着るようになった理由や、振袖のルーツ、他の着物との違いについて、種類や着用シーン別に詳しくご紹介します。

振袖とは?

振袖とは

成人式の晴れ着というイメージが強い「振袖」。その最大の特徴は長い袖で、たとえば恋愛で異性を「振る」「振られる」という言葉の語源にもなっています。
今と違って昔は、女性側から密やかに気持ちを伝える必要があり、振袖の長い袖を左右に振ると「好き」、袖を前後に振ると「嫌い」という合図だったそうです。

現在の振袖に近い形になったのは江戸時代で、世の中が安定すると服装や文化に対する関心が高まり、そのなかで若い女性の着物の袖が次第に長くなっていったといわれています。
袖が長くなった理由は、踊りをする際などに身振りが美しく見えるためという説や、当時は子どもや少女の病が多かったことから、そういった厄を長い袖で「振り払う」意味があったなど諸説あります。

描かれる柄も華やかで豪華なものが多い振袖は、お祝いの場にぴったりで、現在は未婚女性の第一礼装とされています。
最近では結婚年齢も上がって30代の未婚女性も多いため、振袖を着用できる年齢の幅は広がりつつあるともいえます。着用シーンは成人式以外にも、結婚式や披露宴、式典や発表会などで着ることもできます。

振袖の特徴

見た目も豪華でおめでたいシーンにふさわしい振袖は、人生の節目となる成人式をはじめ、未婚女性が結婚式や披露宴に列席の際に着用されるほか、実は花嫁衣裳として着ることもできます。

ほかの着物と比べて袖が長いのが最大の特徴で、広げると一枚絵のように見える「絵羽模様」が施されています。胸や肩、袖などの上半身から腰、さらに下の裾にかけて、全体に華やかな柄が描かれているのが一般的です。

振袖の着用時期とシーン

振袖の着用シーンで成人式に次いで多いのは、結婚式や披露宴にお呼ばれの時です。さらに、結婚式の前に結婚の約束を正式に交わす「結納」、今風に両家顔合わせの席にもぴったりです。特に、格式高い場所で行われる場合は、振袖が最もふさわしいといえるでしょう。

大学や専門学校の入学式や卒業式で振袖を着るのもおすすめ。卒業式では袴との組み合わせが定番です。
卒業式の袴は、明治時代に上流階級の女性が着たのが始まりで、女学生のスタンダードスタイルとして広まりました。振袖の上から袴を着用するので、単体で着た時とはまた違った雰囲気を楽しむことができます。

そのほかにも振袖は、パーティや祝賀会など、ドレスコードのある華やかなシーンでの着用が似合います。会場にパッと華を添えられる振袖姿は喜ばれます。

振袖の種類

振袖の種類

袖が長いことが特徴の振袖ですが、その長さによって種類があります。袖が長い順に「大振袖」「中振袖」「小振袖」の3種類に分類され、袖が長いほど、格が高いとされます。

大振袖

袖丈が約3尺(約114cm)もあるのが、一番袖の長い「大振袖」です。くるぶしくらいまで届く長い袖が、艶やかな気品を演出。振袖のなかでも最も格式が高くなります。
裾を引く後ろ姿が美しい花嫁衣裳の「引き振袖」も大振袖の一種です。
昔は留袖と同じように背中・両胸・両後ろ袖に五つ紋の入っているものが正式とされましたが、最近では省略されることが増えています。

中振袖

成人式でよく着用されるのが、袖丈が約2尺9寸(約110cm)の「中振袖」です。
ふくらはぎくらいまでの長さがあり、大振り袖に次ぐ格の着物です。立ち姿のバランスが良く、ゲストとして参列する結婚式や、結納、お見合いなどにもぴったりです。
成人式の振袖には、大振り袖でも中振袖でも問題ありません。着る方の身長によっても見え方は変わるため、格式よりも全体的なバランスを考慮して選ぶことをおすすめします。

小振袖

振袖の中で一番袖が短いのが、袖が2尺(約75cm)の「小振袖」です。
通常の着物の袖と、大振袖・中振袖の中間程度の長さで、「二尺袖」とも呼ばれます。フォーマルな着物がふさわしい場所でも、大振袖・中振袖では格が高すぎるパーティやお茶会などで重宝されています。
小振袖はかわいらしいイメージが演出でき、動きやすいのも魅力。卒業式で袴に合わせて着用されることが多いです。袖が長い振袖を袴に合わせてはいけないルールはなく、好きな振袖を合わせて大丈夫です。

着物とは

着物とは

そもそも、日本人にとって「着物」とは、大切な伝統文化の一つです。
古くは言葉通り日常的に着用されていましたが、ライフスタイルも変わり洋装が普段の服装として定着した現代では、人生の節目に多く着用されています。
着物にはTPOそれぞれにふさわしい種類があり、着用していく場所に合った着物を選ぶのがマナーです。

着物の特徴

洋服に部屋着から普段着、ビジネスファッション、さらにフォーマルドレスがあるのと同じように、着物にも、様々なシーンに合わせた種類が存在します。着物の種類によって、素材や織り方、地色や柄の染め方、描き方も変わってきます。

たとえば、夏に着る「浴衣」は、通気性や速乾性がある薄手の生地が多く、着物の格としては一番下にあたります。普段着として着るのが「紬」や「小紋」、その上にパーティや式典などにも着用できる礼装として「色無地」「付け下げ」「訪問着」「色留袖」の順で格が上がっていき、最も格が高いのが「振袖」と「留袖」、結婚式で花嫁が着る「打掛」。
女性の着物は代表的なもので11種類が存在します。

着物の着用時期とシーン

着物と着用シーンを簡単な一覧表にまとめてみました。地域や年代でルールやマナーの違いはありますが、一般的にはこのようになっています。心配なときは、ご家族や一緒に出席するお友達と相談しがら選ぶと安心です。

<着物の種類と着用シーン>

  結婚式・披露宴 不祝儀(葬儀) 卒業式・入学式 七五三 お宮参り 観劇・お茶会 同窓会・パーティ 夏祭り・花火大会
打掛(うちかけ) ◎ (新婦)
振袖(ふりそで) ◎(新婦・列席)
黒留袖(くろとめそで)
色留袖(いろとめそで)
訪問着(ほうもんぎ)
付け下げ(つけさげ)
色無地(いろむじ)
小紋(こもん)
紬(つむぎ)
浴衣(ゆかた)

着物の種類

洋服が袖の長さや生地の厚みなどで季節に合うものを選ぶように、浴衣以外の着物にも、季節や気候に合わせて選べる3種類の仕立て方があります。それが、袷(あわせ)・単衣(ひとえ)・絽(ろ)の3種類で、裏地付きで2枚あわせで仕立ててあるのが袷、裏地がないのが単衣、薄手の生地を使ってつくるのが絽の着物で薄物(うすもの)ともいいます。

基本的に着物を着る日の気候に合わせて選べば問題ないですが、一般的に袷は10月から翌5月まで、6月と9月に単衣、絽の着物は7~8月に着るものとされていましたが、近年では式場・ホテルなどの空調設備が整っていることから長襦袢を夏用にされて季節問わず袷を着用される方が増えております。

<着物の種類と着用シーズン>

  1月~5月 6月 7月・8月 9月 10月~12月
袷(あわせ)
単衣(ひとえ)
薄物(うすもの)

まとめ

振袖は着物の一種ですが、最大の違いは形で袖がとても長いという特徴があります。その華やかさは、若々しい年代にふさわしいもの。成人式以外にも卒業式、結婚式など、着用できるチャンスはありますが、人生の中でそう多くはありません。
人生の節目には、貴重な体験として振袖姿を写真と思い出にしっかりと残しておきたいものです。

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