訪問着に合わせる帯とは?組み合わせ次第で違った印象に見える帯の選び方

結婚式などのお祝いの席から祝賀パーティまで、さまざまなシーンで着用できる訪問着。同じ着物でも帯が3本あれば組み合わせ次第で違った印象に見えると言われます。着て行く場所の趣旨やドレスコードを踏まえた上で、格調高くもおしゃれにもコーディネートできる素敵な帯合わせをご紹介します。
訪問着に最適な帯とは?

訪問着は、黒留袖、色留袖、振袖の次に格の高い「準礼装」の着物です。
正礼装(第一礼装)として着用される留袖や振袖と違って、訪問着はお出かけ着として着用することもできるため、活躍する場が多いのも魅力です。
昔から「着物1枚に帯3本」といわれますが、同じ着物でも格が違う3種類の帯があれば、組み合わせ次第でさまざまなシーンで着用できるという意味。着物は、帯や小物の組み合わせで、訪れる場所に合わせることができるのです。
着物には不可欠な帯について基本的なことを知っておきましょう。
帯の格を見分ける
着物と同じように、どれをとってもほぼ形は同じ帯ですが、見た目で種類を見分けることができます。
帯の種類は大きく分けると、格の高い順に、丸帯、袋帯、洒落袋帯、名古屋帯、八寸帯、半幅帯の6種類。袋帯に比べると幅が半分程度しかない半幅帯は、浴衣を着る時に身につけたことがある方も多いのではないでしょうか。
礼装としての着物で着用される帯は丸帯と袋帯です。
最も格が高いとされた丸帯は、最近では滅多に見ることがなくなりました。袋帯に比べると、長さがやや短く、織り柄が両面に入っているのが丸帯です。その分、重たく分厚くなるため、結びやすい袋帯の方が現在では主流になっています。それでも、両面に柄の入った丸帯の豪華な雰囲気は他に代えがたいもので、花嫁衣裳や振袖などに合わせると、クラシックで高級感のある着こなしになります。
袋帯は、丸帯とは違って裏側が無地で、表側に金糸銀糸が多用された華やかな織りの柄が入っています。着物では織り柄よりも染めの柄が格上とされますが、帯はその反対で、織り柄の方が格上です。
金糸銀糸の量が少ない織りの袋帯は「洒落袋帯」に分類され、袋帯よりも格が下がります。
帯に描かれる柄にも種類があります。袋帯には、おめでたい縁起物をモチーフにした、伝統的な吉祥文様、有職文様、正倉院文様などがおすすめ。帯に描かれている柄が現代的な幾何学模様やモダンなモチーフの帯は、格式の高い伝統柄の帯よりも格が低いとされるため、フォーマルな装いが求められる場では避けた方が無難です。
フォーマルシーンでの訪問着に最適な帯とは?
結婚式や披露宴などのフォーマルな場所で着用する訪問着には、袋帯を合わせるのがベストとされています。訪問着に丸帯では格が高すぎ、金糸銀糸の入らない洒落袋帯になると帯だけがカジュアルでチグハグな印象になってしまうのでご注意ください。
結婚式・披露宴など華やかなお祝いの席に
結婚式や披露宴では、お祝いの席にふさわしく、金糸や銀糸を多用した華やかな袋帯を選ぶのが基本です。格調高い古典柄の中から、おめでたいモチーフを描いた帯を選ぶのがおすすめ。結び方は最も格の高い「二重太鼓」が一般的ですが、ふくら雀や立て矢など、豪華な飾り結びも素敵です。
七五三・入学式に
比較的若い方が訪問着を着る機会で結婚式お呼ばれの次に多いのは、お宮参りや七五三、入園・卒園式など、お子様の行事のときではないでしょうか。
この場合の着物選びは、主役はあくまでもお子様であることを念頭に。淡い色合いの訪問着を選び、帯は飾り結びにするのは避けて、二重太鼓に結ぶと印象が良いでしょう。
茶道などのお茶会に
お茶会に招かれることがある方におすすめの着物は、訪問着です。お茶会は格式に差があり、会の趣旨や顔ぶれなどを考慮して着物選びをする必要がありますが、訪問着と袋帯の組み合わせなら、どんな会に出ても問題ないでしょう。
伝統のある、格式高いお茶会に着物で出席する場合、金糸銀糸が豪華な古典柄の袋帯を合わせてみてください。逆に、気楽な感じのお茶会であれば、金糸銀糸が入らない洒落袋帯を選ぶのも素敵。訪問着の着こなしは、帯の選び方でカジュアルダウンすることもできます。
パーティなどでの訪問着に最適な帯とは?
訪問着はフォーマルなパーティから、カジュアルな食事会などでも着用できます。その際に、場に合わせた格の微調整で重宝するのがさまざまな格の帯です。
おめでたい祝賀会・パーティに
フォーマルな服装が求められるパーティに出席するなら、結婚式と同様に袋帯で、おめでたさを表現したコーディネートに。亀甲や七宝、松竹梅など、着物の柄にはそれぞれ意味がありますので、お祝いのメッセージを込めて柄選びをするのも楽しいものです。
ややカジュアルなパーティであれば、洒落袋帯でも良いですが、金糸銀糸を多用して伝統柄を描いた、綴織の名古屋帯もおすすめ。
レストランでの食事・お出かけに
お食事会や観劇コンサート等のお出かけで着るときも、訪問着はぴったりです。この場合は、落ち着いた色柄の着物に、金糸銀糸が控えめの洒落袋帯を合わせると良いでしょう。名古屋帯を合わせる場合は織りの帯を。染めの帯では、訪問着に合わせるには格が下がりすぎてしまうので注意してください。
ちなみに、憶えておきたい帯選びの基本として、着物と同系色にすると上品な装いになります。着物の柄に使われている一色を選んで差し色にするのも素敵です。
オシャレ度をアップさせる訪問着の帯周りの小物
着物を着る際、着物の上に締めるのは帯だけではありません。帯には、帯揚げや帯締め、帯留めなどの小物を添えるのが一般的です。これらはただのアクセサリーではなく、帯結びを支える役割もあります。
帯の上辺を飾る布「帯揚げ」
帯揚げとは、帯の上にちらりとのぞく布のことです。背中の方に入れる帯枕を包んで隠し、帯結びの形を整える役割があります。また、帯揚げをちらりと見せることで差し色効果があり、引き締まった印象になり、帯枕を使用していない場合でも、おしゃれ小物として帯揚げを取り入れる方も増えています。
帯揚げは、見える幅によっても印象が変わります。振袖ではより華やかに、広めの面積が出るように着付けますが、留袖や訪問着ではスマートな印象を与えるよう、細めの面積でスッキリと見せる着こなしが人気です。
帯揚げも多彩な種類とデザインがあり、着用シーンや着物に合わせて選ぶことができます。
訪問着に最適な帯揚げ
訪問着に合わせて帯揚げを選ぶなら、強すぎない淡い色でコーディネートするのがおすすめ。訪問着では帯揚げの見える範囲が狭くなり、柄を見せるよりも差し色を添えるイメージです。単色でもいいですが、染め分けされたカラフルな帯揚げや、ぼかし模様が入ったものを締めると、ぐっと華やかな印象の装いに仕上がるでしょう。
帯結びをしっかり支えてくれる「帯締め」
帯の中央に巻かれた紐のことを帯締めと呼びます。こちらもただの飾りではなく、帯を締めて、固定するためのもの。着物は帯が崩れたら全て台無しになってしまいますから、着物を着付ける際の、最後の大切な仕上げポイントです。
留袖や訪問着では、あまり飾り結びはしませんが、振袖で着用する場合は、凝った飾り結びで華やかに仕上げるのも素敵です。
訪問着に最適な帯締め
着物や帯と同様、帯締めも種類によって格付けがあります。格の高い順に平組(平打ち)、丸組(丸打ち)、角組(角打ち)の3種類。
正礼装や準礼装の袋帯に合わせるなら、最も格の高い平組の帯締めを選ぶと良いでしょう。
格が高いといっても、帯締めは、正礼装からおしゃれ着まで幅広く使えます。訪問着に合わせるなら、金糸や銀糸が組み込まれた華やかなものを選ぶのが一般的です。
まとめ

結婚式からお食事会まで、着用できるシーンが幅広い訪問着は、帯と小物選びが特に重要です。
その場にふさわしい着こなしには、帯の種類や柄、さらに小物の知識まで必要になるため、「大丈夫かしら」と心配になってしまう方も多いのではないでしょうか。
京都の老舗ワタベウェディングが運営するネットの衣裳レンタル専門店「youRSTYLE」なら、着物を選んで着用するシーンを伝えれば、ベストな帯と小物類をフルセットでご用意。和装の知識が豊富な専属のプロによるコーディネートで、安心して特別な日の着物選びの楽しさをご体感いただけます。